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第五章 診察室にて 「どうされました？」 ようやく医者にこの一言を聞いてもらえた。 「実は、今日の朝テレビを見ている時にくしゃみして…」 「時間の無駄！能書きは良いから、さっさと要領よく話して！朝から何人診させられていると思っているの！昔は患者40人に医者一人置けって規制があって丁寧に診れたのに、今じゃTPPで規制緩和されて何百人患者がいても私が一人で診させられるんだから」 「いや、だから腰が痛くなった経過を聞いてもらわないと…」 「じゃあ、腰が痛いんだね！」 「だから、腰が痛いのは…」 「話しても無駄！どんぐりさん。私、腰のことなんて分からないから。その様子じゃ、今すぐに死にはしないだろうから、湿布でも買って貼っておいて。では次の…」 「おいおい、じゃあ、わかる医者に紹介してくれ」 「専門医への紹介料や診察費は、あんた自費で払える？払えるなら紹介するよ」 「自費で？健康保険でお願いします…」 「お宅の健康保険じゃ私までなの」 「私までって、どういう…」 |